不可思議だったり、荒唐無稽だったり、詩的だったりする短編集です。やっぱり短編が好きです。以前紹介した、リディア・デイヴィスの『ほとんど記憶のない女』とは対照的と言えるぐらい全く違った感触です。野生的と言うか...泥のついたじゃがいもっぽい雰囲気です。生々しくて少し形が歪だったり。ちょうど、じゃがいもが登場する「飢饉」という作品も収録されていますが...。
「オフ」という作品の主人公は、本谷有希子の舞台に出てきそうな、周りに腫れ物扱いされかねないやっかいな感じの女性でした。「マザーファッカー」という作品、私の中ではヴィンセント・ギャロとニコール・キッドマンで映像化されていました 笑。「アイロン頭」という作品は、カボチャ頭のカップルの間に生まれた、アイロン頭の子どもという荒唐無稽だけどちょっと哀しいお話。「主役」という、指が鍵の形をした男の子のお話も結末が好きでした。
ハッピーエンドの作品はなく、ペーソスの濃い短編集です。