
オオカミ少女もそうですが、サブリミナル効果という言葉を知らない、サブリミナル効果というものを聞いたことがないという人はいないのではないでしょうか。
しかし具体的な実験内容や結果まで知っているという人もまれでしょう。「テレビで聞いた」とか「なにか本で読んだ」とか、詰まるところ原典不明で「孫引きの孫引き」のような胡乱な出自の知識であるのが大抵ではないでしょうか。
学術的・科学的な裏付けが無く否定されているにも関わらず広く流布している様々な迷信・誤信、すなわち否定されても甦ってくる「神話」を取り上げ、その中身を丹念に検証している本です。
全部で8つの「神話」が取り上げられ、『インドのオオカミ少女・アマラとカマラ』、『サブリミナル効果』もその対象となっています。他には、生まれ育った文化や言葉によって世界の認知の仕方は違うのかという『言語・文化相対仮説』、遺伝か環境かという『双子のデータ』、母親はなぜ赤ちゃんを左胸で抱くのかという『心音説』、計算ができたり手話ができた『天才馬ハンスとチンパンジーのニム』、「記憶」は転移し得るという『プラナリアの学習実験』、行動は条件付けられるという『アルバート坊やの恐怖条件付けの実験』が検証されています。
『サブリミナル効果』について少し引用すると、とある映画館で広告業者ジェイムズ・ヴィカリーによって6週間にわたって行われた「実験」の結果が新聞や雑誌に載っただけで、学会などに(=正式な形で)実験方法・実験データ・論文・報告は発表されていません。
しかし驚くべきことに、有名な「ポップコーンを食べろ」「コカコーラを飲め」というあのメッセージは、5秒おきに1/3000秒だけ画面に提示したというのです。
...あれ?映画って、1秒間に24コマだよね?1956年に、1/3000秒だけ映写できる映写機なんてあったの?しかも普通に映画を映写している映写機と完璧にシンクロさせつつ。それに1/3000秒なんて短時間では閾下刺激ですらなく、そもそも刺激として受け取ることも不可能でしょ...?などの「ツッコミ」が入りまくっています。
つまり、捏造なんです。
サブリミナル効果のように聞いたことがあるものも面白いですが、そもそもの「神話」に触れたことがないものについても興味深いです。
余談ですけど、「1927(昭和7)年のデパート白木屋での火災をきっかけに女性の洋風下着が普及した」というのは、どうやら事実無根のようですね...。信じちゃってました。
こういった「神話」がいつまでも蔓延るのは、「そんなことあるの?」ってちょっと面白おかしいからでしょうね。